深浦加奈子さんに伝えたかったこと。

先月亡くなった、深浦加奈子さんの
お別れの会に行ってきた。
500人を超える参列者。
ホテルの大きなホールは、深浦さんの
突然の死を惜しむ人でいっぱいになった。
深浦さんが、多くの人に愛され、慕われていた
ことをあらためて感じる。

もっと、話しておきたかった。
誰かが亡くなって、かならず思うこと。
深浦さんにも、そういう後悔がある。

脚本家の水橋文美江さんが
アクタス という、金沢発行の雑誌に、
http://www.hokkoku.co.jp/_actus/actus.htm
エッセイを書いていて、自分は挿絵を
描かせてもらっている。

そこで水橋さんは、深浦さんの思い出として、
十数年前、私の夫の葬儀で、深浦さんと水橋さんが、
献花用のお花を渡す係をしたことを書いていた。

たしか、その役をお願いしたのは、
自分だったはずなのに。
私はすっかり、そのことを忘れていた。
夫がきっと喜ぶに違いないと、
私は二人にお願いしたのだった。

……深浦さんと、あの時のことを話したかった。

「ねぇ、ねぇ。深浦さんと水橋さんにお願いしたら、
夫が絶対喜ぶと思ったんだよねぇ…」

「ばかだねぇ」

内容が微妙だけど、受け取り方によっては、
意外と笑える話。深浦さんは、そういうとこを
笑ってくれる人だった。

息子が、深浦さんが亡くなった直後、街で
夫の友人に会った。
「俺ら、明るく死んでいくから！」
その友人は、息子にこう言ったそうだ。
それは、ある意味深浦さんのメッセージでも
あるし、自分の中のイメージでもあるように思えた。

ありがとう深浦さん。


イラストめきし子　アクタス10月号　水橋文美江　かさだかな日々